「三人行必有我師」、「教学相長」の如く、
師たる学生と一緒に生涯学習の道を
歩んでいる我は、しあわせものです。
歩道橋に佇ちて見上げる鰯雲知り人あるやと待つ新学期
新学期あの顔もなし教室の窓から見たる鰯雲かな
教室に並べられゐる椅子たちの坐る人待つ秋の夕暮れ
中国語に励む学生らと今日もまた時間(とき)を忘れて出づる教室
教えること日に日に回る走馬灯回りながらも様の異なる
授業のチャーム鳴っても立ち去らず我の喜び教室にあり
苦か楽かよく聞かるるも千里目(せんりのめ)を窮める道に苦有り楽有り
人常問捷径 千条万道有陰晴 一心苦楽行
討論の授業作りに四苦八苦相手を探り言葉を選ぶ
同調を重んじる国知りつつも議論しかける胡君奮闘
学友の輪に入れずいらいらとふっと気がつく客は神様
それぞれの思ひも違い顔違う同じ願いは授業楽しく
同学の顔を浮かべて反省し一期一会の今日も過ぎ去り
緞帳も降ろさぬ舞台でリハーサル再演もできぬ芝居に挑む
こつこつと耕して撒く歌の田に師からいただく言葉輝く
いつまでも「心に花を」師の教へ胸に抱きて梅を生けたり
一途に突き進むのは唯一つ「君ならできる」師の言葉かな
昨晩の風よりの言葉聴きながら今日も踏まれてゆくか飛び石
鳴るまでの五分で勝負小テストもっとできると密かに喜ぶ
それぞれの思いをくみて舵を取りもがいて浮かぶ授業の流れ
少し待つもう少し待つ同学のできた喜びをもう少し待つ
釜の下あかあか燃えて雪見酒異国の母と新春迎える
朝想ふ「ここをさること遠からず」今日の一日をかみしめて生く
先輩の味の沁み込むゼミ室の机で作りし餃子は美味し
教室の外で思わず襟正す授業も手前和敬清寂